腰まで海水に浸かっている中、青年は目を閉じる。
自分の記憶…見慣れた風景、誰かの笑顔、そして時折響く悲鳴のような声。

「痛……。」

どうして今この場所にいるのかを思い出そうとした時、金属棒で殴られたような鋭い痛みを感じた。
途端に襲い来る猛烈な吐き気と眩暈。
脳が「ソレ」を拒絶しているかのようにガンガンと…痛い


「~~~~っハァ!!……はぁ…。」

額に脂汗を掻き、誰もいない浜辺でもだえ苦しむ様は滑稽にも映るがそれを笑う声も心配する声も無い。
青年は再び顔を洗った後、砂浜へと帰って行った。