(そういや…あの子に会ったのもこんな天気だったよな…丁度夕方だったし)
大雨でぼやけてしまった、町の景観。
四人で傘を差して、一緒になった家に帰る中、カミヤは以前立ち寄った施設の方を見つめていた。
-ポタリ、ポタリ。
町の様子を遮るように、傘の先から雫が落ちる。
楽しそうに話す三人の、少し離れた所でカミヤは一人思い出していた。
蛍の店を出て、ほんの一瞬すれ違っただけの子供。
別の事が起これば、すぐに忘れてしまうような、本当に一瞬の『縁』
だがなんとなく、カミヤはその時の事を忘れられずにいた。
「…わ!!!」
「Σおわ!!?」
「えへへ…♪
さっきの仕返しだよ、どうしたのボーっとして。」
「い、いやなんでもない…あ、そうだ、この人数なら晩飯の材料買わないとな」
それだけ告げるとカミヤは前を歩いていた二人の間へそそくさと入る。
「…?」
キョトンと蛍は首を傾げるが特に気にした様子もなくそのまま後をついて行った。

