-学園内・寮…カミヤ自室-

「ハァ…。」

腹の上でいつの間にか眠ってしまった子狐を乗せ、カミヤはため息をついた。
執務室から追い出されたあの後、案内人だと言われた生徒に連れて来られたのは超巨大なマンション。
その最上階からいくつかの区画が丸々特待生数名で使われているというのだから凄いのを通り越してもはやあきれていた。

長らく使われる事の無かった部屋は綺麗に掃除がしてあるものの生き物の気配がせず、無機質で無駄に広い分それが倍増していた。

「つーかなんで壁紙や床まで真っ白なんだよ、精神患者か俺は。」

案内をしてくれた生徒が言うには内装を全て生徒が決められる為だと言っていたが改装が終わる前に部屋で寝る事になったカミヤはたまったものではない。
せめて音だけでもと仕方なく窓を開け網戸にしているのだがどうにも眠れなかった。

「ハァ…ちょっと外出よ。」

自分の上で寝る子狐を起こさないようにベッドへ移動させると、借りていた代用キーを片手にカミヤは部屋を出た。