「それは…。」

思ったことをそのまま口に出そうとしているのだが思うように言葉が出てこない。
これもレビィにとっては初めての体験だった。
あー、だとか、えっと…だとか、困っている様子を眺めているうちにカミヤの警戒はいつの間にか解けていた。

「お前な…せっかくお茶あるんだからそれ飲んでちょっと落ち着けよ、別に今すぐ聞きたいわけじゃないし。」

見ていてこいつは安全だと思えたのか、カミヤの表情にはいつの間にか笑みが浮かんでいた。
言われるがまま茶を飲み干し一呼吸間を置くと再びカミヤを見据え、口を開く。
そして発せられた言葉は…

「…負けて憎くなかったのは、生まれて初めてなんだ。」

思いがけない内容に今度はカミヤが混乱する。

「どういう事だ…?
俺お前をボコボコにした挙句頭踏んづけたんだぞ?」

レビィには気付かれないようにカミヤは身構える、今までの事が全て演技ならば最悪ここで戦闘になるかも知れない…。
しかしレビィは戦闘姿勢どころか席を立つことすらせず落ち着いた表情で

「…そうだね…ずいぶん酷い目にあった……。」

あの時の記憶を蘇らせながら、続きを話し始めた。