「別に…そういえば記憶は戻ったの?」

「…?いや、お前と戦った後気絶したらまた忘れた。」

「そう……最初に言っただろ?キミに興味がわいたんだ。」

運ばれた茶を飲んだ後レビィがそう零す。
一瞬カミヤからの視線から目を逸らすように見えたのだがそれを察せないほどこの男も間抜けではない。

「…もうひとつ聞いていいか?」

「…?」

最初の質問とは別のトーンで話すカミヤにレビィも疑問を持ったようだ。
別にずっと目を逸らしていたわけではないのだが言葉の後、レビィはカミヤの言葉、視線に集中し始める。

「…なんで時々俺から目を逸らす?」

カミヤにとっては何てことのない些細な疑問、だがその質問はレビィにとって衝撃的なものだった。
それもそのはず、この男は生まれてこのかた他人から視線を逸らされた事はあっても逸らした事などほとんど無い。
良家に生まれ、その性格と力であらゆる者に対して隷属させてきたレビィは自分より実力が上の者に会う機会そのものが少なかったのである。

「それは……。」

頭の中が整理しないまま思わず受け答えてしまう。
内心しまったと思いつつもレビィはアリのままを話すことにした。