どれくらい走ったのだろう?
息を切らした三人が同じタイミングで立ち止まる。

「ハァ…ハァ…カミヤ、なんであんたそんな速いの?」

額に汗を掻きながらラックが尋ねる。
同じく蛍も気になるようだがこっちは息が切れてそれどころじゃないらしい。

「…ッフゥ…シラネ、なんか鍛えてたんじゃねえの?俺」

「…絶対違う気がする…。」

ちょっとは自信あったのにと肩を落とすラック。
その前を一匹の黒猫が通り過ぎる、校舎内に現れた黒猫に三人とも最初戸惑うがすぐにカミヤが抱きかかえた。

「お、ラッキー♪」

「カミヤ…猫好きなの?」

「俺は基本的に動物好きよ?まぁ猫は特に好きだけ…あいた!?」

よそ見をしながら話している隙に手を噛まれたらしい。

「ざまあwww」

「Σやかましい!!」

綺麗に着地した猫はそっぽを向く。

「わぁ…撫でるのとかなら大丈夫かな?」

蛍も恐る恐る手を伸ばすのだが…。

「ボクに触るな。」

不機嫌そうにしながら明らかに人語を話した後、蛍の手を引っ掻くと黒猫は鉤尻尾をぱたぱたと揺らした。