-寝室-

「そういや服着て寝なかったんだっけ。」

「裸族かあんたは。」

Tシャツを着ながらツッコミを入れられるカミヤを見て、蛍はカミヤが他の特待生や幹部生達と違う事を改めて感じ取っていた。
カミヤが起きる前、ラックと(半ば嫌がっていたが)プレートを交換したのだが彼のプレートはカミヤ達特待生よりも二つ下のBクラスだった。
特待生が自分よりも下の階級の生徒と同じ立場で話しているところなど、蛍は今まで見たことがない。
いや、この学園にいる生徒殆どがこんな和気あいあいとしたやり取りを見られたことなどないだろう。

多くの生徒がこの学園に疑問を感じながらも意見を出す事が出来ず、日を重ねるごとに慣れてしまう。
そんな学園だからこそ蛍はこのひと月必要最低限の日数以外登校せず学園の外で働いていたのだ(単に面倒だったからでもあるわけだが)

「～…って蛍？何ボーっとしてんの？」

その言葉でハッとして蛍は我に帰る。
あせったように首を振ると慌てて返事をし

「べッ別になんでもないよ！ただカミヤってすごい体してるなぁって。」

「はい？」

自分でも何を言っているんだと思ったのだろう。
顔を紅くさせると慌てて手を振るのだった。