次の日、カミヤが眼を醒ましたのは昼過ぎだった。
外を見ると昨日の大雨がうそのように晴れている。

起き上がって深呼吸をすると、コーヒーの煎れる匂いがした。

「ん…?ラックかな?」

指で眼を擦りながら仕切られたカーテンを開ける。
…昨日よりは大分体が軽い。
部屋の奥から声が聞こえる、どうやらこの病室には給湯室があったようだ。
コーヒー独特の香ばしい香りもそこから漂って来ているのでカミヤはそのまま戸を開けた。

「だっかっら!器も温めなきゃダメなんだってば!」

「うっ…ウルセ―な、早く持って行けば同じだろうが…。」

「ダメ!味が全然違うんだからね…はぁ~…。」

「ΣΣため息つくなよ!?」

「…なにしてんのお前ら?」

その言葉に騒いでいた二人の動きがピタッと止まる。
そして同時に振り向くと気まずそうにアハハと笑いながら。

「ごっゴメン…起しちゃった?」