何度殴られたのだろう？
何度斬られたのだろう？
何度知る必要のない『初めて』を体験したのだろう？

止む事のない罵声と暴力。
死なないといっても痛みが無いわけじゃない。
表現する術をまだ知らないといっても感情が無いわけじゃない。

必死になって泣いて、叫んで、助けを求めてもその場に応える人は誰も居ない。
自らの身に置き換えた時、それがどういうものか想像できるだろうか？

一息も止まることなく、代わる代わるに襲いかかる全力の暴力。
だがどれだけ打ちのめされても死ねないのである。

大人なら精神を崩壊させる事も出来るだろう、身を守る事も、反抗する事も出来るだろう。

だが叩かれている相手は壊すほどの精神すらまだ持ち合わせていないのだ。

普通の子供と同じように、あるいは普通の子供よりも更に幼く。
ただ泣いて、叫んで。

「あ…!?や、いやぁ!!あー!!あー!!」

やがて口から出た初めてのコトバ。


｢ごめんなさい……


ごめんなさい!!!だからだから!!違いますボクじゃないですっ…!!ごめんなさいごめんなさいごめんなさいっ…!!!!｣



その声は、どれだけ大きくても誰にも届かない。