一目で解る、『成長した』という事。

特徴である白髪赤眼はそのままに、子供は自らの意思を口に出せる程度にまで育ったのだ。

「あ、あぅ…?」

村人たちに気付いて自然と目線がそちらに向く。
肉体程度にしか精神も育たなかったのだろう、子供は今の状況を理解できないでいた。

解るのは自分にとって大切な者が居なくなってしまった事。
そして人間が沢山居るという事。

「あ……あ…。」

のそのそと近づいて来る子供に村の大人達は戦慄する、縛られた常識と、偏った知識故に…。
だがそれは大人だけの話である。

「ふぇ…?」

人込みに紛れて村の子供が顔を出す、おそらく大人たちについて来たのだろう。
大人にとっては化物、だが子供の眼から見える相手は髪と眼の色以外自分と何一つ変わらない「子供」だった。

ゆっくりと近づいて来る相手に身構える事無くただ見つめている。
大人達は徐々に後ろに下がっていたが、その子だけ立ち止まっていたことに気がつかなかった。