やがて村人はその子をどうやっても殺せない事を悟り、別の方法を考え出す。
母親共々処理しようと。

村の裏にある古い洞窟。
母親は散々嬲られた後、そこに幽閉されていた。
無造作に放り投げられた我が子を抱きしめようとした瞬間、胸を貫いた刃。
村人は子供の目の前で母親を処理したのだ。

赤ん坊の眼に映る、初めての自分以外の血の色。
蹲る母親、喜々とする村人。




……









数名の村人が洞窟に向ってからしばらくたった後。
洞窟から地響きが村へと届く。
残りの村人が不安に駆られ洞窟へと向かうと見慣れた洞窟はその姿を変えていた。
恐る恐る中へと進むと外壁以上に変化していた穴の中。
灰色だったはずの壁や地面は一面真黒に染まり、至る所に刳りぬかれたような丸い穴。

母親や見慣れた村人は一人もおらず居たのは…

「う…うぅ…。」
紅の眼に白い髪。
母親が殺された場所の前で泣きじゃくる、一人の幼子だった。