「無論学費は免除するよ?宿もあるし。」

この突然の申し出に、カミヤはなんと言ったらいいのか解らなかった。
自分にとっては破格の待遇、しかし今日会ったばかりの、しかも素姓の解らない自分になぜここまでの好条件を提示してくれたのか理解できない。

「あの…?嬉しいんですがなぜそこまで?」

「そうだな…キミに興味が湧いたから…では答えにならないかい?」

「………。」

カミヤにとっては疑問が増えただけなのだが目の前の人は嘘を言っているようにも見えない。
おそらく真実なのだろう。
その独特の雰囲気に、カミヤもこれ以上突っ込めなかった。

「フフ…では行こうか、ここには忘れ物を取りに来ただけなんだが…思わぬ収穫になった。」

「収穫って…俺は標本か。」

立ち上がり軽い文句を言ったつもりなのだがランプの主は一瞬目を見開くと楽しそうにクスクス笑った。
そして焔に照らされたカミヤの肉体を見て

「凄い体だね…今まで何をしてきたんだい?」

「さぁ…生憎記憶喪失者なんでわからないです。」

その言葉を聞くとランプの主は再び笑った。