病院内を散策して最初に解った事は、ここが学園の敷地内にあるということだ。
自分のいた病室の番号を見る限り少なくともここは五階建て以上あるらしい。
特待生用の病室があるフロアだからか、きちんと掃除が行き届いた廊下に人気はなく、埃一つ落ちていないのが逆に寂しく感じられる。
「病院の見取り図かなんかがあればいいんだけど…。」
話す相手も居ないので独り言が増えたようだ。
とりあえず階段近くにはフロア表があるだろうと探していると妙に明るい場所が遠目に映る。
「…?」
惹き付けられてフラフラと歩みを進めると、そこは吹き抜けの大広間になっており天井はガラス張りになっている。
此の場所だけ妙に明るかったのはその為で、屋根となっているガラスは天体図のような模様が彫ってあり下を覗くとその模様が影になってハッキリと映し出されていた。
「うわぁ…スゲ。」
映し出された一枚の絵をしばし堪能した後、カミヤは近くの階段を下って一階を目指す。
広いエントランスには人が沢山いたのだ。
病室から持ち出したプレートを確認すると、寝ていた格好のままエントランスへとたどり着いた。
そこは自分がいたフロアよりもはるかに広く、床にはレンガが敷き詰められている。
何よりも驚いたのが病院だということを忘れてしまうような賑やかさだ。
自分の知っているような静かな雰囲気は無く、まるでテーマパーク内にあるショッピングモールの様にそこは明るく、軽快な音楽が流れている。
インフォメーションの様なブースを見つけると、カミヤは文字が読めないことも忘れて駆けだすのだった。

