「それならそうで早く言ってくれりゃいいのに。」
山積みになった本を整理しながらラックは文句を垂れる。
だが心なしかその表情はどこか嬉しそうにも見えた。
「…?、なんで笑ってんだ?」
文字が読めず、手伝う事が出来ないのでぼんやりとその様子を眺めていたが口もとの緩んでいるラックが気になって思わず質問してしまった。
「やっとあんたの役に立てるからな。」
「は?」
「あ。」
ポカンと口を開けるカミヤに対し、ラックは「しまった」いう表情を浮かべている。
どうやら相当恥ずかしいらしい、みるみる顔を赤くすると都合悪げに病室を出て行ってしまった。
「…なんだあいつ?」
取り残された中、チラッと時計に目を向ける。
-Am8:03
そういえば昨日から何も食べていなかった。
「うるさいの居なくなったし、探検するかな♪」
朝食探しがてら、ベッドの上に書置きだけ残し、病院内を散策することにした。
そしてその置手紙を見てまたラックは慌てるだろうなと一人ほくそ笑むのだった。

