「ん…?いや、な?」
ラックの問いかけにカミヤは困ったように苦笑いを浮かべる。
だが誰もいない病室の中、笑ってごまかせるような状況でもなかった。
「何隠してんだよ…つーかそれ持ってきたの俺だぞ?理由位話してくれてもいいじゃんか。」
もっともな質問だったのだがカミヤはどうにかしてはぐらかしたいのか答えを返そうとはしない。
郷を煮やしたラックは半ば無理矢理聞き出そうとするも相手はまだ怪我人の為手荒な事は出来なかった。
まぁカミヤにとってもいつかはバレる事なのでこのまま胡麻化し続けようとは思っていなかったのだが…
「あー…実はな…。」
観念したように両手を上げるとこの日初めてラックに自身の事を話し出す。
勿論自分が「この世界の住人ではないかもしれない」というあり得ない疑惑は除いて。
………
……
…
「…つまり記憶喪失で文字が読めないってこと?」
「ん、そんな感じ。」

