(さて…起きちゃう前に…。)
隣に眠るラックに毛布を被せると山積みになっている本の一番上に手をかける。
手に取った本は割と薄く、ノートと同じ大きさだが表紙はかなり丈夫に作られている。
中央に何か文字が書かれているものの、カミヤがそれを読むことは叶わない。
「……。」
淡い期待を抱きつつページを捲るも、そこに自身が期待したものは存在しなかった。
本の中に書かれている文字はカミヤが知っているものとは全く異なり、書いてある内容どころかどれが一つの単語なのかも解らなかった。
手に持っていた本を山積みに戻し、その後何冊かを手に取るも結果は同じである。
「…んぅ……?」
ガサゴソという物音に気がついたのだろう、自分に毛布がかかっている事と、カミヤがまたなにかしている事に気が付きラックは急いで起き上がる。
「カミヤ!」
「ん?おぉ、オハヨ。」
「だ…大丈夫なのか?昨日…なんかヤバかったけど。」
怪訝そうな表情を浮かべるラックを見て、カミヤは軽く笑いながら“問題ない”とだけ告げるとまた本を漁り始めた。
「…さっきから何をしてるんだ?」

