部屋を出ようとしていた足を再び自分の主へ向け直す。
傷が痛むのか、何か欲しいのか、それとも記憶が戻ったのか…
言葉で説明してくれなければ解るはずもない。
専門的な医術を持つ訳ではない自分が出来る事は自分の主であり唯一友だと呼んでくれたこの男の注文に可能な限り答える事だけ、それが解っているからこそラック自身その注文に飢えているのだ。

だがこの時カミヤの口から発せられた『注文』は自分の想像と全く違うものだった…。

「…それを……持ってくればいいんだな?」

コクンと頷くカミヤに確信するとラックは急いで部屋を出る。
それをぼんやりと見送った後、カミヤは意識を再び失ってしまった。
遠のく意識の中、カミヤが思った事…













それはレビィと戦っていた時に頭を駆け巡っていた過去の記憶、そしてこの世界に対しての疑問だった。