-ドン!!

叫び声に気がついたのだろう。
近くまで差し掛かっていたラックが勢いよく扉を開け入って来た。

「なんだ!?どうした!?」

ラックにしてみれば敵襲でもあったのかと思ったのだろう。
少し焦った様子で病室に入るとカミヤの他、誰もいない代わりにその当人が狼狽した様子で壁にもたれ掛かっていたので急いで駆け寄る。

「何やってんだ!!重症患者が勝手に立つな!!」

少し怒りを含ませながら急いでカミヤをベッドへ寝かせようとするのだが、肩を支えようとした腕をガッシリと掴まれる。

「っ痛!?」

病み上がりの人間とは思えないほど強い力で掴まれた事で思わず顔をしかめるが、昨日まで意識を無くしていた相手を力ずくで振り払う訳にもいかずただ耐えていた。
数分間その握る力が弱まる事は無く、掴まれた箇所の感覚が無くなり始めた頃、ようやくカミヤの力が抜けて行く…。

「……カ…ミヤ?」

恐る恐る呼びかけるも返答は無い。
気絶したのかと焦ってベッドへ運び、急いで医者を呼びに行こうとした時自身を呼びとめる声が聞こえた。

「……ラック…。」

「~~~!?」

バッと振り向くと、弱々しい声だが確かに自分に向けて言葉を発した声の主がこちらを向いていた。