「ま…まぁ無事ならよかったわ。」

頭を擦りながら安堵したようにカミヤは笑う。

「まったく…明日こっちに連れて来るようお願いしとく。
とりあえずあんたはもう少し休んでおけよ。」

まるで保護者のようになってしまったラックに素直に応じながら、枕を縦にするとカミヤはもたれかかった。
しかしこの男は元来素直に眠るような良い子ちゃんでは無い。
すぐに退屈になってきたのか、ラックが部屋から出て行きしばらく帰って来ないのを確認すると、早速部屋の探索を始めた。

「しかし広い病室だな…VIPルームより相部屋の方が話し相手がいて楽しいのに。」

ブツブツと文句を言いながら何か楽しそうな物は無いかと物色していると、奥の方に戸棚を見つける。
それは割と大きな造りで、開けてみると本棚だった。

「本…か……。
あっても読めないんだよねー…。」

パラパラと捲りながら理解不能の言語を見て「言葉みたいに一緒だったらいいのに」と呟いた時、カミヤは凍りついた。