「………………。」

後を追う主の体調や精神状態は決して良いとは言えなかった。
むしろこれまでに無いような複雑な感情が入り混じっている。
しかしそれでもなお逃げ惑う男を追いかけ続ける事には理由がある…。













   -コイツを壊したい-

ただ1つ、それだけの為に。

「あ…うぁっ!?」

広い森の中を逃げ惑っていたレビィだが、疲労からか混乱からか普段なら絶対に見落とすはずも無い窪みで躓き転んでしまう。
冷たい汗にまみれ途切れ途切れの呼吸をしながら倒れているその姿は学園内での姿のみしか見ていない人には想像もつかないものだった。

「………………。」

その『何か』は一定の速度を保ったまま、決して止ろうとはしなかった。
そしてレビィ自身が倒れて走るのを止めてしまった今、男の気配や足音はどんどんと近づいてくる。

「ぅ…ヒィ……!!……?」