何十階建ての寮、その上層部にある特待生の部屋。
ペコリと頭を下げて、駆け出し、ベランダから飛び降りる。
まるで猛禽類が獲物を狩る時のように羽を閉じて急降下し、トップスピードを維持したまま地面に当たる寸前で方向転換する様を学園長は眺めていた。

「…なるほど、確かに美しい。」

粉煙の立ち込める方向へ向かうラックを見送った後、コツコツと踵を返して二人の部屋を見渡す。

「やれやれ……与えた制服を一日で壊してしまうとは…困った生徒だ。」

少しだけ楽しそうに笑うその表情は、誰の目にも止まる事無くやがて姿は見えなくなった。




………
……




-森の中・煙の出た場所-

「ハァ…ハァ……。」

まだ急降下や連続飛行に慣れていないのか、息を切らしながらもラックは煙の出ていた場所へと辿りついた。

「どういう…ことだ…?」