「何故…?キミは私の人形なんだ、人形に会いに主が来たら可笑しいかい…?」

「………っ。」

独特の言い回し、表現、笑顔でいても感情を読み取れない雰囲気、そして自らの視界を強制的にその一点へと向けてしまうような…存在感。
まるで全てを包み込み、抱きかかえて飲み込んでしまうようなオーラを醸し出しながら、学園長はラックへ歩みを進める。

「キミは…カミヤ君を助けに行くつもりかい?」

「は…ハイ。」

「何故…?今まで誰も寄せ付けなかったのに。」

「………。」

いつの間にか体が跪き、目線を下に向けたままのラックが返答に詰まる。
体は今にも押し潰されそうで、恐ろしくて、委ねたくて…様々な信号でキリキリと軋んでいく中頭だけはなんとか飲み込まれないように必死だった。

「………~…ったからです。」

「?」

「俺の羽を…汚れて穢れたこの羽を、『綺麗』って言ってくれたからです!!」

「……そう。」

クスリと淡く微笑むと、学園長は体を逸らし道を開けた。そして空いた窓に向けて腕を伸ばし

「…行きなさい……。」

「!!…ありがとう……ございます。」