「さぁ…どうする、自分でついて来るか、それとも無理矢理しょっ引かれるか。」

首を鳴らしながらフライヤがカミヤとの距離を詰める。

「ちなみに…俺がこの場から逃走した場合はどうなるんですか?」

吹き飛び、僅かだが意識を保っているラックを見た後カミヤは静かに質問をした。

「この状況であり得ない事だが…その場合は学園全体で指名手配扱いになる。
おそらくどの派閥の生徒も関係なしにテメェを捕まえようとするだろうな。」

「………。」

その言葉にカミヤは観念したように手を上げ、ユナをラックの方へと放り投げた。

「カミ……だ…。」

「ま…しばらくすりゃ疑いも晴れるだろ、悪いんだがユナの面倒看といてな。」

苦笑しながらラックを見た後、その両手をフライヤの前に出す。
その動作の意味をすぐに理解したフライヤは懐から黒い金属製の手枷を取り出し、そして…

「利口で助かる…連れて行くぞ。」

三人でカミヤを囲むような隊列を組むと、そのまま部屋を出て行った。