保健室に現れたのは…少女。
この学園既定の制服なのか、ファッションなのか、レモンイエローのセーラーにダークグレーでチェック柄のスカート。
胸元に止められているリボンもスカートと同色で、鮮やかなワインレッドの髪は帯の広いリボンで二つに括られツインテールになっている。
手の甲を怪我しているのか、片手で手首を押えながら室内を見回すとため息交じりに呟き
「…先生…いないんだ…1人で治療するの面倒くさいんだけどなぁ……はぁ~。」
その少女は仕方なしに行っていた止血を辞め、蛇口を捻ると傷場所を流水につける。
「痛……っ…。」
傷口がいきなり水に触れたのでおそらくしみるのだろう、苦痛に少し顔を歪ませるがしばらくすると慣れて来たらしく洗い終わったところで蛇口を閉めた。
「えーっと…包帯…は、どこにあるんだろう。
あんまり来たことないからな…。」
引き出しを開けたり、戸棚を開いたりするも中々見つからない。
それもそのはず、本来引き出しの中にあるはずの包帯は(現在カーテン裏のベッドにいる)カミヤの治療の為に先ほど使いきっていたのだ。
ガタガタと探すものの包帯に出会える事は無く、時間が経つにつれて再び血が滲んできたので少女は徐々に焦り始める。
「うーん…あ、奥の戸棚なら予備があるはずだよね。」
ストックがあると思い至り、血が床に垂れないようもう一度水で流すと急いで奥の戸棚までを仕切るカーテンを開いた。

