ただ、止めない事はコレだ。
“Cross Fantasy”
コレだけだ。

だってそこはゲームの中。
そこでの関係は双子でなく、パートナー同士として遊んでいるだけだから。

“泉”の目の前に居るのは“歩”ではない。
モンフの少女、“ペッパー”と“ソルト”だ。

そりゃ…始めた当初は双子みたいな雰囲気を出そうと作ったけど…。
今は違うんだ。あの、始めた頃とは別なんだ。


家に着くと、すぐに部屋に入りPCの電源を入れた。

立ち上がっている最中に急いで着替え、台所に水を取りに行く。
入れ替わるように、浄水器からペットボトルに水を移し換えたばかりのアイツが台所から出て行った。

なんとなく冷蔵庫を覗いてみる。
ウサギの形に切ってあったリンゴを頬張って、ペットボトルに水を入れた。

夕飯を食べるまではコレで飢えをしのぐ。
食べ盛りには意外と辛い。

くしゃみを一つして台所を出た。
すると、二階の自分じゃない方の部屋から大きなくしゃみの音が聞こえて、俺は眉をひそめた。

自分の部屋に舞い戻り、クロファンにアクセスする。

さぁ、今日は何をしようか…。
読み込み中に色んな事を考える。

そしてロード(読み込み)が終わると同時に俺はペッパーへとなる。

現実世界での瞳を閉じる。
するとネットワーク世界での瞳が開く。

彼女が待つ世界へ帰る。