水を飲みながら二階に上がると、俺の部屋に隣の住人が渋い顔をして座っていた。
「…にがああぁ~っ。」
さっき俺が飲んでいたコーヒーを飲みながら悶えている。
「…頭大丈夫か?」
「人間の食べ物じゃない…。」
「安心しろ。お前は人間じゃない。」
「むしろ血の繋がったお前も人間じゃない。」


俺の手から水を奪って飲み干した。
「そう言えば…お前はいつから好まなくなった?」
昔は辛い物やビターな味を好んでいた気がした。

向こうも少し考えて呟く。
「お前と同じぐらいだ。」
「…そうか。」
「ってか服着れば?」
「オマエモナー。」

そして人のタンスから服を取り出した。
「んー…パジャマパジャマ…。ってこれオレのじゃん。」
可愛くない犬のプリントされたTシャツを見て口を尖らせた。
「趣味悪いな、お前。」
「…母さんに言えば?」
「えっ!?これ母さんが買ってきたやつ!?」
「うん。今知った?あのお前がよく着てる、パンダのと同じシリーズ?らしいよ。」
「お気に入りだったのに。」
ちょっとした衝撃。
今日はあのTシャツ着るのやめよう。


広い草原。
見渡す限り何の気配も感じない。

二人で合成の材料採取。

草むらをゴソゴソしながらソルトは話しかける。
「あ、そいやぁさ…。」
「ん?何…?」
俺もゴソゴソしながら答える。


こうして俺達の夜は更けていく。

ここは二人の世界。
二人の遊び場。