「それで…」
『なぁひなた。ちょっといいか?』
私の話を遮り、永倉さんが話し始めた。
『俺はその陸って奴を知らない。でも、ひなたの話を聞く限り男として最低だと思う。子供が出来たら金だけ置いて逃げるなんて最低じゃねぇか?』
「そうですよね。最低だって思いました。でも…私、陸に一つだけ感謝してる事があるんです。」
『感謝?』
「私に華を出逢わせてくれた事です。確かに陸は最低だけど、陸がいなきゃ華が私の娘になることは出来なかったから…。」
『ひなた…。』
永倉さんはちょっと困ったように笑い、
『お前が母親で華は幸せだろうな。』
と言った。


