これもまた、あっけなくドアは開いた。


「キャパパパパパパ!待ってたヨ、君!

 よく来たネ~!」


そう話しかけてきたのは・・・



金髪の・・・



ピエロ。



「キャパパパパパパ!いやぁ、今日も愉快だネ~!」


あたしはぱちくりと、まばたきをしたあと、

なんだか頭痛がしてきてドアを閉めた。



もう、何なのよ、ここの住民たちは~っ!!!


・・・ ・・・


でも、何だか歓迎されてたな・・・。

それに、暗い気分が少し、晴れたようだ。



あたしはひとつ溜め息をついて、

今度は思い切って黒いドアを開けた。


「キャパパパパパパ!面白いネ、君~!」


黒い暗い空間に派手なピエロはよく映えた。


白いフェイスに大きくて真っ赤な口、

右目に赤い星のマーク、左目に水色の涙のマーク、

衣装やハットは色とりどりで、装飾もたくさん。


「あの、ここは一体どこ、なの・・・?」


あたしはずっと疑問に思っていたことを口にした。


「ここはボクの部屋だヨ!キャパパパパパ!」


・・・


「いや、そうじゃなくて、・・・」


「君は次のトコに行きたいんだよネ?」


「次?」


「ボクに君の人生で一番アンハッピーだったことを話しなヨ!」


「アンハッピー?」


「ハッピーの反対だヨ、アンハッピー!

 アンハッピーな君、愉快だネ!キャパパパパパ!」



間違いなく、何を言っても笑われるな、こりゃ。



人間て不思議なもので、幸せだったことより、

不幸だったことのほうが思い出しやすい。


あたしは、走馬灯のように過去の現実を見た。