好きな人。

そんなもの、アタシの頭の中にはなかった。


友達と遊んだり、家族とどこかに行く方が楽しかった。







今日から中学生ってなんか実感ないなぁ。

「お母さぁん!!セーターなんかでかくない?」
真歩(まほ)は嫌そうな顔をしてお母さんに言った。
「いいじゃん。だってこれから3年生まで来てもらわなきゃいけないから、これくらいがちょうどいいよ」
お母さんはニコッと笑うと自分の化粧を始めた。


「えぇ〜!これ3年間も着るの??ヤダよー…ダサいって」
真歩は1人で呟いてセーターをもう1回着た。

「大丈夫だよ。これくらいないと小さくなって3年生になったら着れなくなるよ?」
矢野さんが真歩の頭をポンッと叩いた。

「まぁ…。そうだけど」
真歩は何となく納得してブレザーを着た。