「リキくん、お母様いらっしゃる?」

「普通アポとってくるだろ?」


私服姿にドキリとする。
細身のロンTにだぼついたデニム。カジュアルだけど様になる―――


「…電話出ない、から。主任に言われたら行くでしょ。はい来ました、会わせなさい」

いくらか先生口調で言い、親に話があるのだと伝えた。


少し眉を垂らし、森崎は淡く微笑んだ。


「気付かない?俺一人暮らし」


(一人暮らし…?)

マツリは露骨に眉を寄せ、天敵森崎を見た。

彼が嘘をついているようには思えない―――




「…は?中学生なのに?」

思ったよりマヌケな声が出た。