「津山先生は凄いな」「見習わなきゃね、あの森崎を改心させるなんて」「先生の鏡だな」

尊敬の眼差しを向けられ、マツリは謙遜気味に首を横に振る。

卒業に向けた気合いの飲み会。酒のツマミはもっぱらマツリの先生らしさについて。

あんなに毎日厭味を言ってきた学年主任でさえ、「凄いね」と褒めてくれた。

「そんなこと、ないですよ」

それもこれもリキのお陰だ。リキが一途に自分を想ってくれたからだ。

なんだかマツリは褒められるにも居心地が悪く、一次会でさよならをした。

夜の繁華街はリキが以前出没していたところだ。

―――と、


「センセ」


振り向けば、少年のような笑顔。


「先生の頑張りさにはびっくりだ。嫌なら流してくれて構わない。

好きです、付き合ってくれませんか?」