机に座るマツリの手を弄びながら、リキは言葉を待った。


「まず、他校と喧嘩とか、苛々して暴力ってダセェなってマーは思う」

たどたどしく話すマツリに、リキは“女は自分のことを名前で呼ばないといけない法律”があると知った。

(マー、ね…。せめてマツリにしろよ)

胸中で悪態をつくも、「続けて」と先を促した。


「だって、人間でしょ。どんなに理不尽なことがあっても暴力はよくない。話術で闘ってほしい。

大人になるってそういうことだよ。だって暴力じゃ解決しない。

そりゃ、病院や薬局は怪我人出たら儲かるだろうけども…。

いかに手を出さずに相手を懲らしめるか、知能戦で勝つ方がかっこいいとマーは思う」


一気に感情を爆発させたマツリは岸にあがった魚のように弱々しく話を続けた。