「お前ふざけんなよ」「人の女に手出しやがって」

今にも殴り掛かってきそうな勢いの二人にリキは首を傾げる。

ミカという名前をぼんやりと思い出し、なるほど友人の女だったのかと知る。


「…わりぃ、でも合意だ、…つか誘われたから乗っただけだ」

「っリキ!!!」


一人相手に二人掛かりかと思うより先に手が出ていた。

足元に疼くまる二つの塊。

――そう、リキは喧嘩が誰よりも強かった。


(……だる)

これ以上ここに居たくない。


自然と足は街中に向かっていた―――