僕はパンが焼き上がるのを
心待ちにしながら
ソファで丸くなっていた

パンの焼けるいい匂いが
部屋中を包む


───とその時
家のチャイムが鳴った


「はぁい!!」


弾んだ声で返事を
しながら深雪は玄関へと
走っていく


僕は必死に耳を向け
玄関の方をうかがった


「綺麗にしてんだ」


そう言いながら
入ってきたのは
僕の知らない男…
の人だった