ＣＡＬＬ =フィヨルド=

適当な列に並び、受付を待った。

「はい、ではフォンをそちらに。」

事務的なお姉さんに言われるがまま、フォンを読み取り機へと通す。

「はい。ではそちらの入り口から入って、適当な席に座ってお待ちください。」


エルメスを待ってから、二人はドームの中へと入った。


中は外見通り、非常に広く、半径の外側半分が観客席、内側半分が広間のような平面な空間があった。

全体的に見てお椀状になっており、観客席の一番外側と内側では、かなりの高低差があった。


中央広間には、人工芝が広がっており、中心を囲むように、８つの『屋根付き降り階段』があった。


《地下への入り口？試験は地下でやるのか？》

とりあえず見つけた二人分空いた席に座り、試験開始を待っていた。

しばらくすると、同い年ぐらいに見える緑色の立った髪をしている少年が、後ろに座った。


「あれ？あ、よかったぁ。同年代の受験者がいて～。」

二人を見つけると笑顔で話しかけ、乗り出してきた。


「俺も今、初めて同年代に会ったよ。」

人見知りせず話を返すフィヨルドに気を良くしたのか、話を進める。


「俺は『ハンス』。『ボルト族』のハンス、よろしくな。」

「俺はフィヨルド、こっちはエルメス。よろしく。…ボルト族？」


『ボルト族』

ラオウ四大武族の一つにして『元』最大の武族

一族全てが唯一絶対の『雷属性』を持ち、高い戦闘力を誇るラオウを代表する武族

一時期は最強の一族としてその名を轟かせていたが、１０年前…

族長のラースと先代族長カルボラによる『ラスボラの反乱』により、ボルト族はほぼ壊滅、ハンスはその数少ない生き残りだった。