しばらくせず、砂埃の上部からなにかが飛び出した。

「くそっ!俺の動きが予測されただと!?」


迷彩柄のバンダナを巻いたイカツイ青年は、ブーメランを二本持ったまま、地上を睨んだ。


「………?いない?」


目に入るのは、ミカンとエルメス、フィヨルドの姿はなかった。

すると目が合ったミカンは、人差し指を上げ数字の『1』を作り、上下に振った。



意味を理解した青年は、地上から『上空』へと視線を移した。


そこには、まるで水車のように縦に回転しているフィヨルドがいた。

右足を伸ばしたまま落下し、落下する空気抵抗により、回転はさらに強まる。


「なっ!?バカっ!やめろぉ!」


叫んだところで、空中では自由に動くことはできない。


「『火車(ひぐるま)落とし』!!」


ズガンッ!と重い音を上げ、強烈なかかと落としが顔面に直撃し、最後の回転で地面へと叩き落とした。


「がはあっ!」

硬い岩へと全身を打ちつけ、立ち上がることはできなかった。


「く…くそっ…こんなガキ…に…」