CALL =フィヨルド=

散り散りに軌道から離れ、ブーメランを目で追う。


「『アロンパンツァー』!!」

「『ボルカノン』!」


無意識に武器を出したエルメスは、ブーメランに向けてパンツァーを放った。

それに交差するように、フィヨルドはバスケットボールほどの火の玉、ボルカノンを右手から撃った。


《へぇ…『炎』属性、珍しいわね…》

シールドを展開しても意味が無いことを分かっているミカンには、二人の力を改めて見る余裕があった。


二人の健闘むなしく、ブーメランは再び岩の後ろへと消えていった。


ターゲットを失ったパンツァーは追尾性を亡くし、ホルスターへと戻った。


間髪入れずにブーメランの消えたもとへと走り出すフィヨルドだったが、すぐさままたブーメランが三人を襲う軌道で飛んできた!


《二本持ってやがんな…。一本じゃ今のは有り得ない…》

「エルメス!『ストライクパンツァー』は!?」


見えないターゲットをパルスを展開することで見つけ出すエルメスの技『ストライクパンツァー』

この状況ではまさにうってつけとも言える。しかし…


「無茶言うな!あれはかなり長い集中がいるんだ!こんな中で…」

体を反らしてギリギリ回避する。
もともと身体能力だけ取ればフィヨルドより下なエルメスは、反撃より回避に専念しなければならない。