砂漠をひた歩くことしばらく…─
「あぢぃ~…」
真上にまで昇った太陽は、陽射しをさらに強め
エルメスを灼熱地獄へと追いやる。
「…ん?なんで俺だけ…?」
ふと後ろを振り返る…
そこには馴染みの親友、フィヨルドが
汗一つかかず、冷ややかな顔でついて歩いていた…
「……はぁ!?」
「……え?…なに?」
よく考えたら、一度として『暑い』と発言していないフィヨルド。
全身を身体検査したエルメスだが、氷や水を仕込んではいない…
「……………」
「……………」
流れる沈黙、ベトベトなエルメスとサラサラなフィヨルド…
「なんで!?」
「カイン先生から聞いたんだけど、『炎属性』の俺は無意識に体に覆ってるパルスで、暑さにすごい強いんだと。」
解答はすぐに出た。
「フィヨルド…、お前、俺の前を歩いてくれ…。俺はその影に入るから。」
「いや…でも…」
砂の地面を指差す。
真上からの陽射しのせいで、影は小さな丸しか描いておらず、とてもエルメスは入らない…
「ちくしょーっ!あっついんだよぉぉぉーっ!」
何もない砂漠の空に、切実な雄叫びがこだました。

