「それじゃ、カイン先生…アイ、ルル、ナイル、セルフ…」
朝日が昇り始めたやや湿気た朝、カバンを抱えたフィヨルドとエルメスは、孤児院にて見送りを受けていた。
「二人とも、これを…」
カインが二人に渡したのは、ブレスレットとアンクレット。
フィヨルドのは古めかしい石灰のような感触のシンプルなブレスレット
エルメスのは二重に繋がったシルバーのアンクレット
「お守りだ。いつか二人を護ってくれる、なくすなよ?」
カインの温かみを感じるブレスレット、左腕にはめると、どこか懐かしい感じがした。
「ありがとうございます。じゃあ…いってきます。」
「じゃあね…エル…。じゃあね…フィヨ…。」
泣きそうな思いを堪え、アイは手をふる。
最後まで見送りを受け、フィヨルド、エルメスは森の中へと消える。
《頑張れよ、俺の最高傑作たち。》
アイをなだめるカインには、一人全く別の思惑で動いていることを、今はまだ、誰も知らない…

