…闇に包まれた夜の時間、風も音もない真っ黒な森に光る小さな灯…
淡い光を燈すランプの下、フィヨルドはベッドの上で数日分の食料と衣服、薬を準備していた。
エルメスやセルフたちはすでに寝ていた。
「フィヨ…、まだ起きてたの…?」
寝返りをしたアイは急にまぶたの上から感じた光で起きた。
「あ、ごめんアイ。起こしちゃったか…」
「ううん…、明日でここを離れちゃうんだもんね…」
ゆっくりと起き上がり、フィヨルドの横に寄り添うように座る。
肩に頭を乗せ、うつろうつろする…
フィヨルドは黙ってアイの頭を撫でる。
「寂しく…なっちゃうね…。フィヨとエルがいなくなると…」
「帰ってくるよ、絶対。」
「帰ってきてね…。私以外の…恋人、作っちゃダメ…だよ…?」
「いつから恋人になった!?…ほら、早く寝ちゃいな?」
お姫様だっこで抱え、ベッドに運ぶ。
布団をかぶせるとすぐに寝息を立ててしまった。
「帰ってくるよ、アイのために。」
そして、孤児院での最後の夜が明ける…─

