「はぁ…はぁ…どっちだ?」
軽い息切れをしながら、森を駆け抜ける一人の少年。
黒く逆立った髪に大きな黒い瞳
年の頃10代後半、端正な顔立ちは爽やかさも見える。
そこには成長したフィヨルドがいた、あれから5年の月日しか経っていないのに、立派な青年となっていた。
レジェンドの成長は非常に早い、加えて寿命も短いが、青年期、身体能力がピークの時期がタスペルの3倍近く長い。
何かを探しながらかなりの速度で木の枝から枝を飛び回る。
すると、突然木々の間を縫って、正確に背後に光の矢が飛んできた!
一瞬の反応で体を反転させ、握っていた白銀の剣で矢を薙ぎ払った。
「ちぃっ!ここにも包囲網が。早くエルメスを探さないと…」
方向を変えて木の上へと目指す。
日光を完全に遮断するほどの大量の葉っぱによってできた屋根を抜け、青い空の下、緑の葉っぱの床の上、耳を澄ませ集中した。
シュッ、バキッとほんのわずかな物音がし、フィヨルドはそれを聞き逃さなかった。
「あっちか。待ってろよエルメス!」
再び森の中へ戻り、音がした方へと向かった。