立ち込める砂埃
大きく揺れる大地
しかし、トロイのこん棒は地面には当たってはいなかった。
「…ヴォ?」
不可思議に思ったトロイは、自分の手元を覗きこんだ。
「はぁ…はぁ…」
砂埃が晴れると、そこには無傷のフィヨルドがいて、頭上でこん棒が止められていた。
右手には、今まで持っていなかった『剣』があり、それがこん棒をめりこんでいる。
片刃の中型サイズのシンプルな剣、白銀に輝き、こん棒を止めていることから、その強度を証明している。
「…ヴオォォォッ!!」
再び振り上げたトロイ。
その瞬間、ワイヤーのような細長いものが、一瞬でトロイの全身を縛り上げた。
「ヴォ!?」
かろうじて頭を動かして振り返ると、気絶していたはずのエルメスの左手から、そのワイヤーが出ていた。
左手首あたりに手甲のようなホルスターが装備されていた。
完全にトロイの関節をロックし、動きを封じこめた。
フィヨルド、エルメスが、レジェンドとしての覚醒を果たした瞬間であった。

