CALL =フィヨルド=

耳をつんざく雄叫びとともに、トロイはこん棒を振り上げた。

どうやら二人を縄張りを荒らしにきた敵と判断したようだ。


「うわぁぁっ!」


立ち向かう手段の無い二人は逃げることしかできず、振り下ろされたこん棒をなんとかかわした。


大きな地響きとともに地面が陥没し、こん棒の跡がくっきりと残った。


《ヤバい…ヤバい!》

「エルメス!逃げろぉっ!」


しかし、時すでに遅く、ターゲットをエルメスに絞ったトロイはそのままこん棒を薙ぎはらい、エルメスに直撃した。


「がっ!」


大きく吹き飛ばされ、木に激突した。同時に、ゴツンという頭を打ちつけた音もした。


「エルメス!!」


近づこうとしたがトロイが立ちはだかった、そして再び、こん棒を振り上げた。






ドクンッ!ドクンッ!
《俺の、俺のせいで、エルメスが…》


心臓が高速で高鳴り、瞳孔は完全に開ききっていた。


「ヴオォォォッ!」






ドクンッ!