Little Eden

「…ご迷惑をおかけしたのは、私の方ですから気にしないで下さい。
私が男でその辺が不安なのでしたら私が出ていきますから…だから…居て下さい。」

いつから、自分はこんなにも強引になったんだろうか?

言いながら、ティースは考える。
こんなにも、何かに執着した事はなかった。
時々、泊まりに来るジークがそう言ったならば、恐らく引き留めようとはしない。
だが、ほんの少しでも…隣の部屋で、姿が見えないとしても…彼女が居る。
そう思うと嬉しかった。

言葉をかければ、返ってくる。

それだけで…





長い沈黙の後、フレイアは

「解った。」

と言う。と、同時にどうして?と思う。
落ち着かないことも、相手に迷惑をかける事を解っているのに、何故ここに居ようと思うのか。

彼女の言葉に、ティースはドア越しに安堵すると、言った。

「では、これから学院の方に戻ってあなたの教科書を取ってきますね。
それから、戻ったらご飯にしましょう。」
.
「…お願いします。」

「はい。では、すいませんが待っていて下さい。」

「…うん…。」

フレイアの返事を聞き、ティースは安心し、部屋を出ていった。






ティースが外出した後、フレイアは着替えの入っているというクローゼットの前へと這っていく。
そして、クローゼットを開けると、女性物の高価なドレスが何着かかけられていた。

「綺麗…」

思わず感嘆の声があがる。
だが、よくよく考えるとこれは彼の親が用意したものだ。
恐らく、いつ彼の婚約者がここに来て泊まっても良いように。
そう思うと…

(袖なんか通せる訳が…無いじゃない…)


静かにクローゼットを閉めると、ため息をつき、窓から外を眺める。

太陽が沈みかけており、ほんの少しの時間見ることができる茜に、全身を染められてフレイアはティースが戻るのを待つしか無かった……。