「真冬さ、勘違いしてるだろ?」
直樹の腕の中でじっとしていると、ふいに頭上から声が降る。
…勘違い?
「俺が亜美を好きとか思ってたろ?」
言葉につまってしまう。
だってそう思ってたし。
「だって…亜美と話すと顔赤くなるじゃん」
「ぷっ。よく見てるわりに鈍いな」
直樹がくすくすと笑い出す。
「亜美と話すとき赤くなるときは、必ず、亜美の前に真冬と話したときなんだけど?」
亜美の前にあたしと話したとき?
直樹を見上げると優しい目であたしを見ていた。
「前から真冬が好きだったってこと」
キョトンとするあたしの唇に直樹の唇がゆっくり重なった。
あたしは前から親友で。
今日から彼女。
でも親友の座も、彼女の座も誰にも譲ってなんかやらないんだからっ。
end
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