「俺が」
頭がうまく回らない。
これは夢?
「…っ誰を?」
だんだん目の前の直樹が霞む。
だって、だって、都合のいいように頭が働いちゃってる。
「あぁーもー言わすなよ。察しろよ。俺が、お前を好きなんだよ」
真っ赤な顔をしたままの直樹があたしから顔を背ける。
その仕草が可愛く見えてしまうのは、あたしがどうしようもないくらいに、直樹に惚れてるからかな?
「……あたしも、だよ」
直樹と視線が絡まる。
うまく息もできないくらいの、直樹の視線に、ただただ見つめることしかできない。
「だめだよ、真冬。ちゃんと言って」
真剣な、それでいてどこか切なそうな表情の直樹が覗き込んでくる。
今、顔見られたくないのにっ。
「直樹が…す、き…」
どうしてもっとスムーズに話せないんだろう。
告白するときはもっと気のきいたことを言ってからって決めていたのに。
「…すげぇ嬉しい」
直樹にぎゅっと抱き寄せられた。
寒かったのに一気にあったかくなる。

