「その前に、夕方なんか変だったけど…なんかあったか?」


寒いからかな。

直樹の顔が赤く染まって見える。


「なんもないよー。ちょっとそこで待ってて」


窓を閉めて、カーディガンを羽織って、階段を駆けおりる。


「んな薄着で来るなよ。風邪ひくぞ?」


玄関を開けて外に出ると、さっきと同じ場所に直樹が立っていた。

ため息をついたあとの心配そうな顔があたしを喜ばすって、直樹は知ってるのかな?


「大丈夫。真冬なんだから寒さには強いって」


直樹。

言いたいことってなに?

いい話?

それとも悪い話?


「なぁ、真冬」


ふいに直樹の眼差しが真剣なものになる。

そんな表情されたらあたしまで緊張してくる。


「な、なに?」


思わず心の中で身構えてしまう。

何を言われても平気なふりをしなくちゃ。


「……好きだ」


今、聞こえてきた直樹の声をもう一度頭の中で再生する。


「…誰が?」


信じきれなくて直樹に尋ねるとムッとした顔をされた。