触れ合うだけのキスを数回して、お互いに求め合うように舌が絡み合う。
「…なんだ。茅だって押し倒されたかったんじゃん」
嬉しそうに笑う椎兎を愛しいと思う。
幼馴染としても、恋人としても大好き。
「しい、待って」
キスをされながら組み敷かれて。
このままじゃいつもと同じになっちゃう、と慌てて椎兎に制止をかけた。
「やだ。待たない」
…この年中発情男め。
その気になってしまった椎兎を止められたことは一度もない。
このまま椎兎との甘い時間を過ごしたいという誘惑に耐えて、行為は終わるのを待つことにした。
とは言っても結局椎兎が好きなんだから感じてしまうのだけど。
「…茅」
ふいに落ちてきたのは冷めた声。
こんな声を聞いたのは久しぶり。
数年に1回のペースで切れる椎兎が出す声に近いかも。
「…どうしたの?」
あたし、今怒らせるようなことした?
「今、なに考えてた?」
「へ?」
あたしが口を開くより早く唇を強引に奪われた。

