「そんな事は最初から分かってた事でしょ?」
確かに彼女の言う通りだ。アイツを最初に目にしたときから得体の知れないヤバいヤツだと分かっていた。あの黒は俺にしか倒せない事も。だけど…ひょっとしたら…もうどうにも出来ないレベルにまで難易度は上がってしまっているのかも知れない。単純に風邪薬が風邪にしか効き目が無いように。警察とか軍とかその他攻撃性を含む機関だってそれぞれに効き目がある相手は決まっていてアレ等には無力なのだ。アレ等に効き目がある薬は本来なら釘バットで無くて竹刀でも無く、これを握る前から持っていたはずなのにどうやら今は使い方を忘れたか使わないだけか無くしてしまったかしたらしい。
ある意味自分達は薬だが薬じゃない。黒に黒をぶつけてその場を凌いでいるだけに過ぎない。病気に対する治療では無く延命に近い。
目前に迫る強大な黒を見てこんな事を思ってしまう俺には──、
「勝ち目無いかもな。」
今度は確実に聞こえないように呟いた。
せめて詩織だけでも無事じゃないと修一に申し訳ないと思ったから。俺では無く修一が。
不安は伝染する。不安は時と場合によるが死を招く種になる。
確かに彼女の言う通りだ。アイツを最初に目にしたときから得体の知れないヤバいヤツだと分かっていた。あの黒は俺にしか倒せない事も。だけど…ひょっとしたら…もうどうにも出来ないレベルにまで難易度は上がってしまっているのかも知れない。単純に風邪薬が風邪にしか効き目が無いように。警察とか軍とかその他攻撃性を含む機関だってそれぞれに効き目がある相手は決まっていてアレ等には無力なのだ。アレ等に効き目がある薬は本来なら釘バットで無くて竹刀でも無く、これを握る前から持っていたはずなのにどうやら今は使い方を忘れたか使わないだけか無くしてしまったかしたらしい。
ある意味自分達は薬だが薬じゃない。黒に黒をぶつけてその場を凌いでいるだけに過ぎない。病気に対する治療では無く延命に近い。
目前に迫る強大な黒を見てこんな事を思ってしまう俺には──、
「勝ち目無いかもな。」
今度は確実に聞こえないように呟いた。
せめて詩織だけでも無事じゃないと修一に申し訳ないと思ったから。俺では無く修一が。
不安は伝染する。不安は時と場合によるが死を招く種になる。

