歩きにくい。
外があれだけ賑やかだったから中もさぞかし賑わうと思ったが、そんな気配は全く無かった。
とりあえず、歩く。
ずぼずぼと足がいちいち膝の上まではまる。しかも砂がスニーカーの中に入り込んでくるし。
マッドボールが現れる気配は無いし。
ひょっとするとあのまま外で戦っていた方が良かったんじゃないか?という思いが浮かんできてもおかしくない状況だ。
そんな事を思いながらどれくらい歩いただろうか?
「おっ!?」
ずぼっと沈むはずの足が膝下で止まり、足の裏が何か砂以外のものの感触を知らせてくれた。
微妙に柔らかい感触…かつて何度か踏みつけたことのある「人」を踏みつけている感触に似ていた。
人…なのか?
もしそうだとしたらこのまま放っておくのは不味い。それ以前にこのまま踏み続けるのも不味い。と、慌てて足を砂から引っこ抜き別の場所に突っ込むと、またしても踏みつけてしまった。一人で顔も知らない埋まっている相手に「ごめんっ!」とか謝りながら足をどけて釘バットを脇に置いてから砂を掘り始めた。
ある程度砂を掘ると埋まっている人の手に触れる事ができた。このまま掘るより引っ張り出した方が早いと考え、力任せに引っ張ると俺と同い年くらいの男が現れその男の下にもう一人埋まっているのが見えた。と、そのもう一人の顔を見たとき思わず声がでた。
「おいおい!どうなってんだよ!?」
とりあえず男を横に寝かせて、もう一人を引っ張り出す。
人っ子一人いないとかそんな表現はおかしいかも知れないけど、俺以外に誰も存在していない空間だと思っていたのに、まさか人がしかも二人も埋まっているとは思いもよらなかった。もっと言えばその一人がさっきまで自分が助けを求めていた人物だったのには、驚きの二文字しかない。
名前こそ知らないが、一緒に戦った女を見間違えるはずない。
何があって、どうして埋まっているのか?聞く必要があったけど、とりあえず二人が起きるのを待つしか無さそうだ。
二人の意識が戻るまで何も起こらない事を願った。
*
「…お…り。」
誰かが
「シオリ。」
誰かがアタシを呼んでいる。
懐かしい声。
好きな声。
そして…、恐怖の声でもある。
外があれだけ賑やかだったから中もさぞかし賑わうと思ったが、そんな気配は全く無かった。
とりあえず、歩く。
ずぼずぼと足がいちいち膝の上まではまる。しかも砂がスニーカーの中に入り込んでくるし。
マッドボールが現れる気配は無いし。
ひょっとするとあのまま外で戦っていた方が良かったんじゃないか?という思いが浮かんできてもおかしくない状況だ。
そんな事を思いながらどれくらい歩いただろうか?
「おっ!?」
ずぼっと沈むはずの足が膝下で止まり、足の裏が何か砂以外のものの感触を知らせてくれた。
微妙に柔らかい感触…かつて何度か踏みつけたことのある「人」を踏みつけている感触に似ていた。
人…なのか?
もしそうだとしたらこのまま放っておくのは不味い。それ以前にこのまま踏み続けるのも不味い。と、慌てて足を砂から引っこ抜き別の場所に突っ込むと、またしても踏みつけてしまった。一人で顔も知らない埋まっている相手に「ごめんっ!」とか謝りながら足をどけて釘バットを脇に置いてから砂を掘り始めた。
ある程度砂を掘ると埋まっている人の手に触れる事ができた。このまま掘るより引っ張り出した方が早いと考え、力任せに引っ張ると俺と同い年くらいの男が現れその男の下にもう一人埋まっているのが見えた。と、そのもう一人の顔を見たとき思わず声がでた。
「おいおい!どうなってんだよ!?」
とりあえず男を横に寝かせて、もう一人を引っ張り出す。
人っ子一人いないとかそんな表現はおかしいかも知れないけど、俺以外に誰も存在していない空間だと思っていたのに、まさか人がしかも二人も埋まっているとは思いもよらなかった。もっと言えばその一人がさっきまで自分が助けを求めていた人物だったのには、驚きの二文字しかない。
名前こそ知らないが、一緒に戦った女を見間違えるはずない。
何があって、どうして埋まっているのか?聞く必要があったけど、とりあえず二人が起きるのを待つしか無さそうだ。
二人の意識が戻るまで何も起こらない事を願った。
*
「…お…り。」
誰かが
「シオリ。」
誰かがアタシを呼んでいる。
懐かしい声。
好きな声。
そして…、恐怖の声でもある。

